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第15話 ~加奈のこと その2~

加奈の父親は証券会社に勤務していて
朝早く出勤してから夜遅くまで家には帰らず
日曜日は接待でゴルフをすることが多かったために
ほとんど家にはいなかった。

たまに家にいるときは
だらだらと寝転がっているか
威張りちらしているかのどちらかの状態が多くて

身の回りの世話から家事全般にわたって
母親をこきつかうようにしていた。

男尊女卑の固定観念が強い父であったために
女房が常に従順で亭主に尽くすことは
当然の義務であると思っていた。

そんな父の前にいる時の母親を見ていて
あまりにもかわいそうに思えたから
加奈がかのこと同じような歳の頃に
母親に聞いたことがあった。

「どうしてお父さんに自分の言いたいことを言わないの?」

「いつも威張ってばかりいるお父さんのどこを愛しているの?」

「お母さんにだってやりたいことがあるんでしょう。
舞踊とか陶芸とかを習いたいって言ってたじゃない。
どうして自分の楽しみをやらないの?」

母親は淡々とした表情でこう答えた。

「女はこれでいいの。
女房となったら亭主に対して尽くすものなのよ。
女は男に対して逆らってはいけないものなの。

前に一度お父さんに
舞踊を習いたいって聞いたことがあったけれど…

‘おまえは俺の留守の間に家を守り
家事をこなして亭主の帰りを待ち
帰ってきた亭主に対して最善を尽くす。

ただそれだけでいいんだよ。

外に出て習い事などしたら
そのために家のことがおろそかになる。

疲れてしまったら
俺に対して十分に尽くせなくなる。

だから俺の女房である間は許さん。‘

そう言われたからしょうがないんだよ。
だから私はあきらめたんだよ。」

ちょっとうつむきながらも
淡々とした表情で加奈の母親は話をしてくれた。

この時、幼い加奈は不思議に思ったことを
今でもはっきりと覚えている。

そんな両親のもとで素直に育ってきた加奈は
母親から受けた大きな愛情とともに
母親の生き方までもいつのまにか受け入れていた。

加奈はそんな父親も母親も
とても愛していた。
(母親と同じように父親のことも愛そうと努めていた…)

世間の家族もだいたいこんな感じの状況が
普通であるだろうとも思っていた。

だから小学校5年生の頃までの加奈は
学校でも家庭でもわがままのようなことは言わず
控え目でおとなしくてまじめないい子でいた。

でも本当はやりたいことが心の中にあふれていて
ちょっとはじけちゃうような快活さも持ち合わせていた。

そんな加奈が6年生になったときの
学級担任の若い男の教師がとても好きになり

その教師と友達の前では
本当の加奈の姿を出せるようになっていた。

そしていつしか父親以外の家族の中では
自分らしく過ごせるようになってきてはいたが

父親の前では相変わらず母とともに
自分を出さずに従順でいた。

ある時、母親はそんな加奈をみていて
次のようなことを話したことがあった。

「加奈はお母さんと違って
自分をストレートに表現できる
勇気のある賢くて明るい子。

だからお母さんのような生き方を見習わないで
もっと楽しく自分らしく生きなさい!」

あの時の母親の言葉と優しい笑顔を
今でも時々思い出すことがあった。

そして加奈は
久しぶりにそんな両親のことや
自分の子どもの頃を思い出していて

焼肉屋へ向かう車の中では
ずっと無言のまま
自分自身の思い出の世界に入り込んでいた。

加奈が自分らしくいられたのは
結婚して間もない頃までだっただろうとも
自分自身の半生を振り返って感じた。

お付き合いしていた時の正登と
結婚して一緒に暮らすようになってからの正登は
別人とも思えるほど冷たく感じることが多くあった。

正登が自分の父親のように
男尊女卑的な固定観念を強く持ち

教師でありながらも
子どもたちを蔑むように捉えることが多々あることを

結婚して共同生活を始めるようになってから
加奈はあらためて知ったのである。

その中で加奈の選択してきたことは
自分の母親のように
自分を押し殺して従順になることによって
正登との間に不和を生じないようにすること。

夫婦間も家族の仲も
表面的に安泰にみえる状況を
作り上げることであった…。

ここまで思いをめぐらせたところで
ふと我に返った加奈は

自分の両親のように極端ではないにせよ
かのこから見た今の自分は

私が自分の両親に対して幼い頃に感じていたことと
同じようなことを感じているのだろうなあと思いハッとした。

家族4人の乗った車は焼肉屋に到着した。

加奈は小さなため息をついて車を降りようとすると
かのこが優しいまなざしで見つめてくれていることを感じた。

車を降りてから早足で店の入口へと向かう
正登と翔太からは距離をあけて
二人は手をつないでゆっくりと歩いていた。


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テーマ : 癒し・ヒーリング
ジャンル : 心と身体

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プロフィール

くるみ あんず

Author:くるみ あんず
アセンションに向けて、前向きにスピリチュアルライフを歩んでいる主人公の長女「かのこ」とその母「加奈」を中心にした物語で、自作小説です。

作者のくるみ あんずは、実際にも4人の子どもを育てている父親です。我が子4人の中で、クリスタルチルドレンの色合いの濃い次女をモデルにしたのが主人公の「かのこ」です。

作者のもう1つのニックネームは‘タエヌ’と申します。ブログやホームページの運営も行っています。
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